親になるかならないかは選べても、子どもでないことを選ぶことはできない。すべての人は、親から生まれた子どもなのだから。親に反発してみても、オリンピックで金メダルを取っても、親から生まれたことは消えない。消す必要はないのだ、DNAを受け継いで、気がつくと顔もしぐさも似ていたりする、親から一世代進化した子ども。多くの子どもたちが、産道──いのちの道を、自分のやり方で、母との共同作業でいのちをかけて通り抜ける。最初の試練。支える家族と見守る医療従事者。産声を上げ、地上生活者としての呼吸が始まる。
今、なぜ誕生学なのか。この生まれた、生まれる、という素晴らしさを忘れかけている人がいるからである。生まれ、生きて、死んでいく。この簡単で、誰にも当てはまる大切なことを知らなければ生きる力も沸いてこない。生きる力はお金ではない。失ってから気づいても遅い、自然の力と人の絆なのである。増加中の若年者の人工妊娠中絶、子育て拒否や虐待、中高年のセックスレス。解決のヒントは誕生学の中にある。
一度しか生まれないのに、「誕生」ということがおろそかになっていないだろうか。パパとママのところに会いに来た子どもを、きちんと受け止める準備ができているのだろうか。子どもをおろす、作る、などと簡単に考えていないだろうか。男性にも是非知ってほしい。女性のためだけでなく自分自身の幸せのために。豊かな生き方のエッセンスとして、誕生の素晴らしさを多くの人の心に留めていただきたい。今、この世に生まれるべくして生まれた「誕生学」である。
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