現在、私は9カ月の息子と4歳の娘の子育てをしながら、「育児工学」という新しい分野の研究に取り組んでいます。育児工学とは、育児と最新の工学技術(サーモグラフィーや脳波計などのエレクトロニクスやコンピュータ技術)を融合させ、物言わぬ赤ちゃんの気持ちを推し量り、産後の母親と赤ちゃんのために快適な育児環境を実現する学問です。
「育児」の分野は、科学よりは伝統を、理論よりは精神を重要視する傾向がありますので、「育児」と「工学」を結びつけることに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、今の母親は多くの情報に翻弄され、「何が正しく、何が間違っているのか」が、全くわからない中で子育てをしているのが現状です。
現代の子育ては、あまりにも多い情報と便利さのみを追求した育児グッズが、逆に若い母親たちを追い詰め、育児を難しいものにしているような気がします。実際、さまざまな情報の中には不正確なものもたくさんあります。経験的に伝えられてきたことを科学的に裏付けると同時に、母親になる前の若い女性にも、出産と育児の正しい知識を広めていくことが必要だと感じています。
また、母親ばかりでなく、父親を含めた新しい家族の誕生を支援していくことも大切でしょう。情緒不安定になりがちな産後の母親には、赤ちゃんの父親であるパートナーの支えが絶対に必要です。日本には里帰り出産という伝統がありますので、産後は妻の実家任せというケースもまだまだたくさん見受けられます。産後の父親の関わり方が、その後の夫婦関係や育児の方向性に影響することも明らかになってきています。父親も育児休暇を気軽に取得できるような社会が望まれると同時に、社会全体が子育てに目を向けてほしいものです。
子育て中だからこそ見えてくることはありませんか? 当事者が声を上げてゆくことが大切です。ぜひ皆様のお声をお聞かせ下さい。微力ながら私も、子育て中の母親、研究者という両方の立場で精一杯がんばってゆきたいと思っています。
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